第4回セミナー (抄録)
熊本大学文書館・<水俣病>研究プロジェクト (HOME)
Local Community "Minamata" and Minamata Disease
【発表者】 丸山 定巳 Sadami Maruyama 【日時】 平成24年12月12日(水)18:00-19:30 【場所】 熊本大学法文棟4Fメディア演習室
水俣病問題には、発生・拡大・補償救済の遅れという重大な三つの責任問題がある。そして、それぞれに原因企業に加え行政や医学、それに地域社会の住民たちが深く関わってきた。地域社会唯一の大企業として君臨してきた原因企業チッソは、生産至上主義に徹し、安全性を無視した経営を行ない、環境を私物化し、水俣病被害を発生させてしまった。そうした企業をチェックする役割を受け持つ行政も、企業の操業を容認し、環境破壊を未然に防止する規制を講じなかった。地元地域社会には、チッソの企業活動をコントロールする勢力は存在しなかったといってよい。それどころか、住民たちは、水俣病患者に対して抑圧的な対応にでることも少なくなかったのである。
現代の水俣では、患者と住民が対立した負の経験を活かす地域社会再生の取り組みが続けられている。この動きを本格的に軌道に乗せていくためには、住民を拘束してきたチッソ運命共同体意識からの解放が必要となっている。 |