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   木製の人魚   



ote
作詞 大手拓次
ote
作曲 林宏太郎


男声合唱組曲『四月の顔』より


1968年1月12日 所 小倉市民会館



演奏 九州工業大学メンネルコール 指揮 入口紀男(学生指揮者 20歳)




  


             「木製の人魚

   こゑはとほくをまねき
   しづかにべにの鳩をうなづかせ
   よれよれてのぼる火繩(ひなは)の秋をうつろにする
   こゑはさびしくぬけて
   うつろを見はり
   ながれる身のうへににほひをうつす
   くちびるはあをくもえて
   うみのまくらにねむり
   むらがりしづむ藻草(もぐさ)のかげに眼をよせる

   - 大手拓次藍色の蟇(ひき)』(1936年)より -


 この「木製の人魚」は、男声合唱組曲『四月の顔』の最初の曲です。大手拓次(1887-1934)は、大正から昭和中期の詩人。北原白秋や萩原朔太郎によって見出されました。しかし、生前詩集が刊行されることはなかったようです。この「木製の人魚」を収録する『藍色の蟇』もその死の翌々年に刊行されました。今に思えば、この演奏は、その詩集の刊行から三十年余りしか経っていなかったようです。この曲を作曲した林宏太郎は、1967年夏に当合唱団に来て演奏を直接指導しました。
 演奏は 50年以上経った古い音源から再生したものですが、最近の新しいソフトによってノイズはかなり低減されております。  








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